OBAYASHI - Smart BIM Standard

BIMから抽出したい情報は何でしょうか。この答えは、極論すると数量に他なりません。3Dビューによる合意形成も干渉チェックも重要なBIM利用の目的じゃないか、と言う声が聞こえてきそうです。当然、3次元図形情報も重要な情報の一つですが、合意形成も干渉チェックも確定情報をつくるための手段です。達成したいのは、モデル内に関係者が合意した結果の「確定した情報を得ること」です。


この「確定した情報」の利用方法に3次元図形情報が必要な場合もありますが、ここでは「数量」という一次元で考えます。

BIMからは、コンクリートが何立方メートルあるのか、石膏ボードが何平方メートルあるのか、片開きのドアが何ヵ所あるのか、といった情報が取得できます。十分に入力されたBIMモデルからは数万点の部品情報が取得できます。全てのモデル要素から「容積」が取得でき、全ての面要素から「面積」が取得でき、全てのコンポーネントの「個数」が取得できます。ところが、多くの場合、モデルを入力しただけでは目的は達成されません。数万に及ぶ数量のデータに意味が備わっていないと価値がないからです。

数量は「何の」という情報と合わさって初めて情報に価値が生まれます。前述の例で言うと、「コンクリートが」「石膏ボードが」「片開きのドアが」といった主語の部分が必要です。ではこの主語はどのように決めればよいのでしょう。「コンクリートが」という主語は必要十分に集合を表しているでしょうか。設計強度を加味して「Fc21のコンクリートが」「Fc24のコンクリートが」というように細分化が必要でしょうか。あるいはプラントに発注する際の配合まで加味した細分化が必要でしょうか。

答えは「不定」です。どの分け方も必要かもしれませんし、どれも不要かもしれません。組織の形態、プロジェクトにおけるBIMの目的設定、プロジェクトの時期、などによって答えが異なります。

残念ながら、この「何の」に当たる情報のつくり方に体系的に整理されたものはありません。この情報のつくり方に手法がない、という点がBIMの難しさの正体の3つ目です。